巻き爪のお話です
■まきづめとは
巻いていたら巻き爪で、食い込んでいたら陥入爪。巷ではまとめてまきづめ(巻き爪)と呼ばれています。
診察時に患者さんへお話するのは、
浸出液のでる肉芽や腫れあがった指に対して、漫然と軟膏を塗布しても、
抗生剤を飲んでもだめです。爪の食い込みを解除しない限りは治りません!。
という事です。
二次的に感染があれば抗生剤の内服をしますが、
大元を治さない限り繰り返し感染をおこします。
””食い込んでいるところに軟膏を塗り重ね、包帯できつくぐるぐる巻き、
ばい菌が入るといけないので洗浄せずに消毒のみ””
自己判断でこのような処置をしている方がみえましたら、
ぜんぶ悪化の原因になっている可能性がありますので、
すぐにお近くの皮膚科を受診してくださいな。
■陥入爪の症例
さて、ご本人に許可いただけましたので、ここで治療の一例を紹介いたします。
一枚目;親指の左側の爪が深く食い込み、ぐずぐずしています。指の先端がもり上がってきており、かなり長期にわたりこの状態であることがわかります。このままですと爪甲鈎弯症 (そうこうこうわんしょう) になっていくと思われます。
このような場合、食い込んでいる爪棘があれば除去して、テーピングで先端を引き下げ、ガター法(爪の側面にチューブを差し込み、陥入を緩和する方法)やコットンを詰めてなんとか爪が指先端に乗っかるように矯正していきます。この方は爪が短く丸まり奥深く入りこんでいるため、ガターはもちろん、とても詰め物ができる状態ではありませんでした。さてどうやって治療しましょうか。
二枚目;そこで、とにかく短く丸まった爪を広げるために、コレクティオによる矯正を行いました。これは、横にひっかけて矯正する方法ですので、先端に爪がなくてもできます。なんとか爪両側の引き上げに成功しました。少し浸出液が目立ちますが、広がった爪が、寄りかかってきていた周囲皮膚にぶつかるようになってしまったためと思います。どのみちこの皮膚には今後どいてもらわないといけませんので次の治療ステップに移ります。矯正の効果ですが、写真では爪の幅が広くなったのがわかると思います。指先端を引き下げるテーピングも併せて行っています。
三枚目;爪の左側、何とか広がり始めた爪に、指の先端をぐっとテーピングで引き下げながら、人工爪を作成しました。こうやって爪を足してあげて先端まで伸びたのと同じ状態にしてあげるわけです。人工爪をガイドにして自分の爪がしっかり伸びれば、もう食い込むことはないはずです。
四枚目;順調に伸びています。食い込みもなくなり、浸出液も出なくなりました。先端をトリミングしつつ、自分の爪に置き換わるのを待ちます。
勤務医時代には爪外来を担当して、特に陥入爪については多くの方の治療を経験してきましたが、よかれとおもった処置で自ら悪化させてしまう方も多いように思います。
当院では、一般的な保存治療はすべてできるようにしています。また、新しい手法も随時取り入れて治療にあたっております。いろいろ手を尽くしても腫れや肉芽が著しい場合は手術を行いますが、まずは、できる限り自身の爪を残す方法で治療していきます。
もし陥入爪でお困りでしたら気軽に相談してくださいね。
2014.11.12 初稿

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